不燃物

 

帰り道が分からなくなった 遠い夏の日をふと思い出した

 

見慣れたはずの町並みなのに いつも歩いていた道だったのに

 

どうしてか帰れなくなって 歩けなくなって

 

公園のブランコで 一人静かに揺れていた

 

誰にも分からない そんな話で

 

誰にも分かってもらえない そんな事で

 

不安が不安を呼んでは また苦しくなって

 

いつからだろう どうしてだろう

 

分からない怖さに また泣いてしまう

 

かろうじて動く手で ペンと紙を手に取り

 

書いた言葉は 誰の目にも留まらず

 

いつの間にか 無くなってしまうのは

 

私と一緒で 私と一緒じゃなくて

 

ぐしゃぐしゃに丸めて 捨てられるのならば

 

どうか私も どうか一緒に